高配当銘柄のタバコ株3社
健康や環境を取り組んだ投資先の選定、規制が付き物で将来不安視されているタバコ3社を比較してみたいと思います。
比較する銘柄は下記3社
①アルトリアグループ【MO】
②フィリップモリス【PM】
③ブリティッシュ・アメリカンタバコ【BTI】
3社の業績推移
【MO】【PM】は値上げを行い微増ながら一定の売上高をキープ。
【BTI】は2017年レイズを買収した効果が年々売上高増化傾向にあり。
3社ともに、タバコの出荷本数は減少ですが値上げにより売上高は一定もしくは微増で推移しています。
【MO】【BTI】は増加傾向ですが、【BTI】は頭打ち感が出始めている印象。
【PM】は減少傾向にあり、ピーク時から2割程度の営業利益を失っています。
3社ともに営業利益率40%~50%と非常に高利益率です。加熱式タバコにより更に利益率向上に繋げています。
特に、【MO】は50%台に乗せており他を圧倒しています。
【PM】【BTI】に関しては下落傾向な点が気になります。
基本的に3社ともに安定して純利益を稼ぎ出しています。
【MO】は2019年に減損処理により一時的なマイナス。
【BTI】は2017年レイズ買収による一時的なプラス。
【PM】に関しては殆ど一定をキープ。
3社ともEPSの伸びが無く、タバコに変わる製品開発、事業買収、自社株買い等によりEPS向上を図る必要がありそうです。
【PM】【MO】は連続増配銘柄です。
【MO】連続増配年数50年
【PM】連続増配年数11年
10年間で【MO】の配当金は2倍、【PM】の配当金は1.8倍になっています。
【BTI】も連続増配ではないものの、増配傾向は強く10年で配当金は2倍になっています。(ポンドでの配当推移)
非常に高い増配率で株主還元を行ってきた3社ですが、近年は増配による株主還元力低下が鮮明となっています。
いずれ増配が止まる事は折り込んだ上で投資を行う必要がありますが、依然高い配当利回りであるため、減配にならなければ御の字だと思います。
【10年平均増配率】
MO 8.69%
PM 6.73%
BTI 7.43%
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
MO | 78 | 92.8 | 82.5 | 70 | 90.3 | 79.9 | 86.7 | 31.2 | 51 | 348.4 |
PM | 62.2 | 57 | 62.7 | 66.2 | 76.8 | 86.5 | 98.1 | 92.5 | 102.8 | 95.6 |
BTI | 73.4 | 71.8 | 67.3 | 66.8 | 76 | 69.2 | 66.4 | 76.2 | 10.9 | 73.2 |
意外にも配当性向100%越えは【MO】【PM】を含めた2回だけで基本的に安定感があります。
ただ、【PM】に関しては配当性向90%後半とかなり厳しい水準になっていますので連続増配ストップ最有力候補は【PM】になりそうです。
【MO】発行株式数減少傾向にあり自社株買い継続中。
【PM】2014年までは減少傾向、それ以降は自社株買い停止中。
【BTI】発行株式数増加傾向にあり。
現状、自社株買いを定期的に行っているのは【MO】のみとなっています。
配当金による高株主還元で手一杯となり自社株買いに回す資金力が無くなっている印象です。
キャッシュフロー推移
稼ぐ力がある点がタバコ会社の特徴です。
3社とも、直近は高水準の営業CFとなっています。
投資比率は10%~20%程度と投資に回す金額が圧倒的少ないのがタバコ事業の特徴です。
3社とも直近は高水準のフリーCFを生み出しています。
グラフだけで見ると素晴らしいと思えますが、今後はこの水準以上、もしくは維持が必須となるため依然厳しい状況に変わりない点は注意が必要です。
まとめ
安定した売上高と高収益率で利益を稼ぎ出しているものの、配当余力は高水準であるため、増配が止まることを見越した投資が必要となってきそうです。
【MO】の特徴
・連続増配年数50年
・営業利益率50%台と高水準
・唯一自社株買いを継続中
・増配率2%台と低迷
・一時的な配当性向300%越え
・EPSは減少傾向にある
【PM】の特徴
・連続増配年数11年
・売上高、純利益は非常に安定
・外国税10%掛からない、税金面で有利(0.2%程度かかる)
・配当性向90%台後半で連続増配ストップの可能性あり
・自社株買いは停止中
・増配率は1%台に突入
【BTI】の特徴
・レイズ買収以降、業績面は好調
・配当性向70%台と余力は一番あり
・外国税10%掛からない、税金面で有利
・連続増配銘柄ではない(長期で見ると増加である)
・発行株式数は増加、自社株買いは行っていない
コロナウイルスと肺炎の因果関係、ESG投資の流れから健康悪とされるタバコ株は不人気となっています。株価低迷と増配により常時配当利回りは7%~9%という数値になっています。
ただし、業績は非常に安定しており高い利益率で利益を稼ぎ出しています。
問題は上がり過ぎた配当金の維持が難しくなってきた、という感じです。
仮に増配が止まっても現状の配当金額の支払いが続く限り、タバコ株を保有する意味は十分にあると思います。
新規で購入するのであれば、下記2社がベストです。
・連続増配、自社株買いによる高株主還元の【MO】
・配当余力有り、税率面で有利な【BTI】