タバコ大手のフィリップモリスをスピンオフして誕生したアルトリアグループ。
ここ数年、株価は下落をし続けており配当利回りはついに8%台に突入しました。
要因としては
・JUUL、マリファナ大手クロノス出資への多額債務
・年々減少するタバコ販売量
・健康被害の増加
・米国FDAによる電子タバコ販売規制
・値上げによる収益確保の限界
ネガティブ材料だらけで株価が上昇する材料が全くと言っていい程ありません。
【2010年~2019年のチャート】
2018年頃から株価は下落を始め、2019年に入ると下落スピードは増しており前年対比で4割程の下落をしています。
現在の株価は41.31ドル、年間配当金は3.36ドルなのでで配当利回りはなんと8.13%となっています。
業績推移
売上高は約2.6兆円、売上高は全く伸びておらず横ばいが続いています。
タバコ販売数減少に伴い値上げで売上高を調整しているため、今後も一定の売上は確保できる見込みでありますが、将来的にはタバコの収益一本柱では厳しいため次なる収益源としてJUULやクロノスの出資に動いています。
営業利益率は非常に高く近年は35%以上を超えています。
キャッシュフロー推移と債務
タバコ事業は設備投資を必要とせず、そのため多額のフリーCFを得ることが出来ています。ただ幾度となく買収をしており多額の債務を背負っています。
2018年にJUULとクロノスへの出資のため約130億ドルの借入を行っています。
長期借入負債は減少していものの、フリーCFの1.7倍となる借入金が財務悪化懸念となっており、JUUL、クロノスへの出資が成功するかがカギとなりますが、JUULはFDAからの規制見直しにより暗雲が立ち込めています。
EPS、配当金、配当性向の推移
EPSは増加しているものの、直近でみると減少傾向となっているEPS、配当金の増配率が高いこともあり非常に余力のない状態となっています。
配当金増配率の推移
過去10年間の平均増配率は9.26%と非常に高い水準で増配を行っており、同社が株主還元に非常に積極的な姿勢であることがわかります。
ただ、直近では多額の出資により財務悪化、売り上げの減少等により増配率は低下傾向となりそうです。
発行株式数の推移
毎年、自社株買いを行っており2009年から約10%減少しています。
自社株買いはEPSを向上させますので、同社は引き続き自社株買いを行うと思いますが、現在の株安をどのように捉えているのか非常にきになるところです。
まとめ
タバコを取り巻く環境の悪化や多額債務をしてまで出資した電子タバコのJUULが規制される恐れがあり、大きく株価は下げ続けており、配当利回りは8%台へ突入しています。
電子タバコJUULの規制度合いにもよりますが、財務的に厳しく、売り上げは横ばいであり、高い営業利益率を誇っていますが向上する余地は乏しいため、次なる収益減が無くなる可能性を加味すると、増配記録のストップから減配になる可能性が出てきます。
将来的に見て今の株価が底なのか、まだまだ下落するのかはわかりませんが、正直売られ過ぎだろうと思っており、少額で少しづつ買い増しは続ける方向です。